平成29年 不動産鑑定士試験 短答式 鑑定理論 問10
総論第4章C 標準
不動産の価格に関する諸原則に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1) 画地規模が比較的大きい戸建住宅が建ち並ぶ住宅地域において、戸建住宅が取り壊された後に共同住宅が建設される事例が続いている。不動産の最有効使用の判定において活用される原則の1つは、変動の原則である。
(2) 中規模戸建住宅が建ち並ぶ団地の中に店舗付住宅がある。団地内の他の店舗は既に閉鎖しているが、その店は料理人が有名であることから盛況で、これからも営業を続ける予定である。最有効使用の原則を活用すれば、当該不動産の更地としての最有効使用は店舗付住宅とすべきである。
(3) 7階建て程度の比較的新しい店舗ビル及び事務所ビルが建ち並ぶ地域内に、3階建ての共同住宅及びその敷地として利用されている複合不動産がある。均衡の原則及び適合の原則を活用すれば、当該複合不動産は最有効使用の状態ではないと判断すべきである。
(4) 戸建住宅のほかアパートが散見される地域において、新駅が開設され、利便性が向上したため、賃貸住宅の需要が高まり、当該地域における賃料の相場は上昇傾向にある。また、当該地域内の空地にはアパートが新たに建設され始めている。アパートの総収益の把握に当たっては、競争の原則及び予測の原則に従い、収益増加の見通しについて予測の限界を見極めなければならない。
(5) 取引事例比較法の適用に当たっては、代替の原則に従い、多数の取引事例を収集し、価格の指標になり得る事例の選択を行うべきである。
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正解:(2)
解説
【正解 (2)】誤っているのは(2)です。
(2) ×:総論第4章Ⅳの最有効使用は「現実の社会経済情勢の下で客観的にみて、良識と通常の使用能力を持つ人による合理的かつ合法的な最高最善の使用方法」に基づくものです。有名な料理人という特定個人の能力によって成り立っている収益は、その人に帰属するものであって不動産に帰属するものではありません。したがって、更地としての最有効使用は地域の標準的使用(中規模戸建住宅)を前提に判定すべきであり、店舗付住宅とすべきではありません。
(1) ○:戸建住宅から共同住宅への建替えが続いている状況は、地域が変動の過程にあることを示します。変動の原則により最有効使用を判定します。
(3) ○:均衡の原則は不動産の構成要素の組合せの均衡(内部)、適合の原則は不動産と環境との適合(外部)を問題にします。周辺が7階建ての店舗・事務所ビル街で3階建て共同住宅というのは、両原則からみて最有効使用の状態にありません。
(4) ○:新駅開設による賃料上昇局面では、競争の原則により超過利潤が競争を招いて減退する可能性を踏まえ、予測の原則により収益増加の見通しの限界を見極める必要があります。
(5) ○:取引事例比較法は代替の原則に基づく手法であり、多数の取引事例を収集して価格の指標となり得る事例を選択します。
📖 関連するテキスト:9-1 諸原則の体系(鑑トレの会員ページ)