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令和8年 不動産鑑定士試験 短答式 鑑定理論 問10

各論第1章A 最重要

Bが所有する土地・建物を、Aが建物賃貸借契約に基づき賃借している場合における当該建物及びその敷地の鑑定評価に関する次のイからホまでの記述のうち、不動産鑑定評価基準及び同運用上の留意事項に照らし、誤っているものをすべて掲げた組合せはどれか。

イ 対象不動産の現実の状態を所与として鑑定評価の対象とする場合の類型は、貸家及びその敷地である。

ロ Aが当該土地・建物を取得する際の鑑定評価で、依頼目的に照らして、鑑定評価書の利用者の利益を害するおそれがないかどうかの観点から妥当性が認められたため、取得後の状態を前提とした対象確定条件を設定し、自用の建物及びその敷地として鑑定評価を行った。

ハ Aが土地について新たに賃借権を設定し、建物を取得する際の鑑定評価で、依頼目的に照らして、鑑定評価書の利用者の利益を害するおそれがないかどうかの観点から妥当性が認められたため、取得後の状態を前提とした対象確定条件を設定し、借地権付建物として鑑定評価を行った。

ニ 対象不動産が有料老人ホームであり、現行賃貸借契約における賃料が、事業採算性の観点から把握した適正な賃料水準より相当高額であるが、現に賃貸借に供されていることから、事業採算性は特に考慮せず、現行賃貸借契約における賃料により得た収益価格を標準として鑑定評価額を決定した。

ホ 対象不動産がホテルであり、実際にホテルを運営している事業者が通常よりも優れた能力を有することにより超過収益が生じている場合、当該超過収益は事業用不動産に帰属するものであるから、総収益の査定において当該超過収益を計上した。

(1) イとハ
(2) イとホ
(3) ロとハ
(4) ロとニ
(5) ニとホ

正解と解説を見る

正解:(5)

解説

【正解 (5)】誤っているものはニとホです。事業用不動産の収益把握の考え方が論点です。 イ ○:現実の状態はB所有の土地建物をAに賃貸中ですから、現実の状態を所与とすれば類型は貸家及びその敷地です(基準各論第1章)。 ロ ○:借家人が当該不動産を取得する場合、利用者の利益を害するおそれがないかどうかの観点から妥当性が認められれば、取得後の状態(自用の建物及びその敷地)を前提とした対象確定条件の設定が可能です(基準総論第5章・留意事項)。 ハ ○:ロと同様に、取得後の状態(借地権付建物)を前提とした鑑定評価が可能です(基準総論第5章・留意事項)。 ニ ×:有料老人ホームのような事業用不動産では、賃料負担力が事業の収益性に依存するため、現行賃料が事業採算の観点からみた適正水準より相当高額な場合には、その持続可能性を検討する必要があります。事業採算性を特に考慮しないのは誤りです(留意事項)。 ホ ×:現実の運営事業者が通常よりも優れた能力を有することによる超過収益は、不動産に帰属するものではなく、総収益の査定に当たっては通常想定される事業者を前提に排除すべきです(留意事項)。 【学習ポイント】ホテル・老人ホーム等の事業用不動産は「不動産に帰属する収益」と「事業者の能力に帰属する収益」の切り分けが頻出です。

📖 関連するテキスト:36-1 貸家及びその敷地の意義(鑑トレの会員ページ)

この問題に出てくる用語

対象確定条件収益価格収益性賃貸借

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出典:令和8年不動産鑑定士試験 短答式試験(国土交通省)を加工して作成。解説は鑑トレが作成。