令和7年 不動産鑑定士試験 短答式 鑑定理論 問28
各論第1章A 最重要
借地権付建物の鑑定評価に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1) 借地権の態様が定期借地権である場合、契約期間の満了に伴う更新がなく、借地契約が必ず終了するため、収益還元法を適用するに当たっては、収益期間が有期であることを前提とした有期還元法等を適用することが適切である。
(2) 借地権の態様が定期借地権である場合、契約期間の満了に伴う更新がなく、借地契約が必ず終了するため、一般に借地契約の残存期間が短くなるに従い、借地権付建物の経済価値は低下すると考えられる。
(3) 将来の売却を想定してDCF法を適用するに当たって、売却に当たり譲渡承諾料、名義書換料等の一時金の授受が見込まれる場合には、当該一時金の額が借地権付建物の経済価値を高める要因になると考えられる。
(4) 原価法を適用するに当たって、建物の開発期間中においても地代を支払う場合には、発注者が直接負担すべき通常の付帯費用として当該期間中の地代相当額を適切に考慮する。
(5) 収益還元法を適用するに当たって、総費用の査定においては、土地の公租公課(固定資産税、都市計画税)ではなく支払地代を計上すべきである。
正解と解説を見る
正解:(3)
解説
【正解 (3)】売却時に授受が見込まれる譲渡承諾料等は借地権者側の負担であり、経済価値を高める要因ではありません。
(1) ○:定期借地権は契約期間の満了に伴う更新がなく借地契約が必ず終了するため、収益期間が有期であることを前提とした有期還元法等の適用が適切です。
(2) ○:定期借地権付建物は、一般に借地契約の残存期間が短くなるに従い経済価値が低下すると考えられます。
(3) ×:将来の売却に当たり譲渡承諾料、名義書換料等の一時金の授受が見込まれる場合、それらは借地権付建物の譲渡に伴う負担として売却手取額を減少させるものであり、経済価値を高める要因ではなく減価要因となります。
(4) ○:建物の開発期間中に支払う地代相当額は、発注者が直接負担すべき通常の付帯費用として再調達原価に適切に考慮します(基準総論第7章)。
(5) ○:借地権付建物の収益還元法では、土地は借地であるため土地の公租公課ではなく支払地代を総費用に計上します。
【学習ポイント】借地権付建物では「地代を払う代わりに土地の公租公課は負担しない」「処分時に承諾料等の負担がある」という所有権(自用の建物及びその敷地)との違いを費用・価値の両面から整理しましょう。
📖 関連するテキスト:35-1 自用の建物及びその敷地の意義(鑑トレの会員ページ)