令和3年 不動産鑑定士試験 短答式 鑑定理論 問9
総論第5章A 最重要
鑑定評価の条件に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
(1) 対象確定条件を設定するに当たっては、鑑定評価書の利用者の利益を害するおそれがないかどうかの観点から当該条件設定の妥当性を確認しなければならないが、未竣工建物等鑑定評価ではない場合には、実現性及び合法性の観点からの妥当性の確認までは求められていない。
(2) 土壌汚染の有無につき、調査範囲等条件を設定して当該要因を価格形成要因から除外して鑑定評価を行うに当たっては、鑑定評価書の利用者の利益を害するおそれがないと判断されることに加え、土壌汚染の除去についての実現性を確認する必要がある。
(3) 個別的要因についての想定上の条件を設定する場合における実現性の確認に当たっては、所有者等の現況を変更する権限を持つ者に、現況の変更を行う意思や着手の確認を行う必要があるが、現況を変更するために必要な資力の確認までは求められていない。
(4) 現況が貸家及びその敷地である不動産について、賃借人の存しない自用の建物及びその敷地であるものと想定して鑑定評価を行う場合は、権利関係に係る個別的要因について想定上の条件を付加する場合に該当する。
(5) 不動産鑑定士は、依頼目的、利用者の範囲、条件設定の要件等を総合的に検討し、条件設定を行うことが妥当であると判断した場合は、依頼者との間で合意がなくても、条件設定を行うことができる。
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正解:(1)
解説
【正解 (1)】正しいのは(1)です。
(1) ○:対象確定条件については、鑑定評価書の利用者の利益を害するおそれがないかどうかの観点から妥当性を確認します(総論第5章第1節Ⅰ2.)。実現性及び合法性の観点が要求されるのは地域要因又は個別的要因についての想定上の条件です。なお未竣工建物等鑑定評価の場合は、設計図書等の収集や工事完了の実現性の判断が追加で求められます。
(2) ×:調査範囲等条件は、事実の確認が困難な価格形成要因について調査の範囲を限定するものであり、土壌汚染の除去についての実現性は要件ではありません。実現性が問われるのは想定上の条件です。
(3) ×:実現性とは、条件を実現するための行為を行う者の事業遂行能力等を勘案した上で当該条件が実現する確実性が認められることをいいます(運用上の留意事項)。事業遂行能力には資力も含まれますから、資力の確認が不要とはいえません。
(4) ×:賃借人が存しないものと想定して評価するのは、価格時点と異なる権利関係を前提とする対象確定条件です。想定上の条件は地域要因又は個別的要因について設定するものであり、権利関係についてのものではありません。
(5) ×:条件設定をする場合には、依頼者との間で鑑定評価依頼契約上の合意がなくてはなりません(総論第5章第1節Ⅴ1.)。
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