平成27年 不動産鑑定士試験 短答式 鑑定理論 問29
各論第1章A 最重要
貸家及びその敷地の鑑定評価に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1) ある法人の本社として一括賃貸されている事務所ビルについて鑑定評価を行う場合、当該法人の属する業種の業界動向、業種内での当該法人の相対的位置や収益力等は、重要な価格形成要因である。
(2) 商業系ビルの賃貸借においては、賃貸面積として、専有部分のみならず共用部分とされる部分の面積も含めて契約されることがある。よって、当該賃貸面積の範囲について、図面上や実地調査において確認することも重要である。
(3) 総収益の査定において、将来授受が見込まれる一時金のうち、売買等に当たって買主に承継されない部分がある場合には、当該部分の運用益及び償却額は総収益に含まない。
(4) 貸家及びその敷地の鑑定評価額は、実際実質賃料に基づく収益価格を標準として求めることとされており、収益性を左右する賃貸経営管理の良否やその実施の状態に留意すべきである。
(5) 借地権付建物で建物が賃貸されている場合の鑑定評価においては、借地権の鑑定評価並びに貸家及びその敷地の鑑定評価において総合的に勘案するものとされている事項について勘案しなければならない。
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正解:(3)
解説
【正解 (3)】誤っているのは(3)です。
(3) ×:基準各論第1章第2節Ⅱは、実際実質賃料について「売主が既に受領した一時金のうち売買等に当たって買主に承継されない部分がある場合には、当該部分の運用益及び償却額を含まない」と定めています。対象は「既に受領した一時金」です。将来授受が見込まれる一時金は、買主が取得する将来の収益ですから、承継の有無にかかわらず総収益に含めます。「既に受領した」を「将来授受が見込まれる」に差し替えた点が誤りです。
(1) ○:一括賃貸されている不動産では、テナントの信用力・収益力が賃料収入の安定性を左右するため、業界動向や当該法人の位置づけは重要な価格形成要因となります。
(2) ○:商業系ビルではレンタブル比の取り方が契約により異なるため、賃貸面積の範囲を図面と実地で確認する必要があります。単価の比較を誤らないための実務上の要点です。
(4) ○:貸家及びその敷地の鑑定評価額は、実際実質賃料に基づく純収益等の現在価値の総和から得た収益価格を標準とし、積算価格及び比準価格を比較考量して決定します。賃貸経営管理の良否は収益性に直結します。
(5) ○:借地権付建物で建物が賃貸されている場合は、借地権と貸家及びその敷地の双方について基準が掲げる勘案事項を踏まえる必要があります。
📖 関連するテキスト:36-1 貸家及びその敷地の意義(鑑トレの会員ページ)