平成28年 不動産鑑定士試験 短答式 鑑定理論 問11
総論第5章A 最重要
不動産の鑑定評価によって求める価格に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
(1) 正常価格を求めるに当たり、隣接不動産の併合を目的とする売買に関連する取引事例を採用する場合には、当該事例につき事情補正を行わなければならない。
(2) 正常価格が前提とする最有効使用は、良識と通常の使用能力を持つ人による最高最善の使用方法に基づくことが原則であるが、特別な能力を持つ人によって大きな収益を上げ得る使用方法に基づく場合もある。
(3) 正常価格が前提とする市場の条件の1つとして、対象不動産が相当の期間市場に公開されていることがある。この相当の期間は、価格時点の相違により異なるものではない。
(4) 特定価格として求める要件に該当するが、結果的に正常価格と同一の市場概念の下において形成されるであろう市場価値と乖離しないと判断した場合には、価格の種類を正常価格とし、そのように判断した理由を鑑定評価報告書に記載しなければならない。
(5) 特殊価格の鑑定評価は、文化財の指定を受けた建造物や宗教建築物又は現況による管理を継続する公共公益施設の用に供されている不動産について、その保存等に主眼をおいて行うものであり、その不動産の文化財的な価値を求めるものである。
正解と解説を見る
正解:(4)
解説
【正解 (4)】正しいのは(4)です。
(4) ○:特定価格として求める要件に該当する場合であっても、結果として正常価格と同一の市場概念の下で形成される市場価値と乖離しないと判断されるときは、価格の種類を正常価格とし、そのように判断した理由を鑑定評価報告書に記載します。価格の種類は名目ではなく実質で決まる、という考え方です。
(1) ×:隣接不動産の併合を目的とする売買であっても、その取引価格が正常なものと認められるのであれば事情補正は要しません。取引事例は「事情が正常なものと認められるもの又は正常なものに補正することができるもの」から選択します(総論第7章第1節Ⅰ2.(2))。併合目的というだけで必ず事情補正が必要になるわけではありません。
(2) ×:最有効使用は「良識と通常の使用能力を持つ人による合理的かつ合法的な最高最善の使用方法」に基づきます(総論第4章Ⅳ)。特別な能力を持つ人による使用方法を前提とすることはありません。
(3) ×:「相当の期間市場に公開されている」の相当の期間は、市場の状況によって変わります。価格時点が異なれば市況も異なるため、同一とはいえません。
(5) ×:特殊価格は、一般に市場性を有しない不動産について、その利用現況等を前提とした「経済価値」を適正に表示する価格です。文化財的な価値そのもの(学術的・歴史的価値)を求めるものではありません。
📖 関連するテキスト:11-1 基本的事項の意義(鑑トレの会員ページ)