平成28年 不動産鑑定士試験 短答式 鑑定理論 問18
総論第7章A 最重要
原価法の適用における「建物及びその敷地の再調達原価」に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1) 農地地域に所在する大規模な農業用資材倉庫(自用の建物及びその敷地)の土地の再調達原価は、対象地の素材となる農地の価格に当該農地の標準的な造成費と発注者が直接負担すべき通常の付帯費用を加算して求める。
(2) 土地の再調達原価が把握できない既成市街地に存する更地の価格は、取引事例比較法及び収益還元法、さらに当該土地の面積が近隣地域の標準的な土地の面積に比べて大きい場合等においては開発法を適用して求める。
(3) 土地の面積や建物の面積・設計・仕様等がすべて同一で、同じ場所に所在する場合であっても、自用の建物及びその敷地と賃貸中の貸家及びその敷地のそれぞれの再調達原価は異なる場合がある。
(4) 「通常の付帯費用」に含まれる場合がある資金調達費用とは、土地の取得費用や建物の建築費等について金融機関等から借入を行った場合の金利等を指すものであるから、自己資金によりこれらの費用等を支払った場合は、資金調達費用を考慮する必要はない。
(5) 建物の再調達原価を求めるに当たって、対象建物の建築請負契約書の明細が入手でき、明細に記載された内容について適切に補正や時点修正を行うことで信頼度の高い再調達原価を求められた場合には、必ずしも、間接法を適用する必要はない。
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正解:(4)
解説
【正解 (4)】誤っているのは(4)です。
(4) ×:再調達原価は、価格時点において対象不動産を再調達することを想定した場合に必要とされる「適正な原価の総額」であり、通常必要とされる費用を観念するものです。したがって、実際に自己資金で支払った場合であっても、通常の資金調達費用に相当する額を考慮します。実際の支出の有無で再調達原価が変わるのであれば、同じ建物の再調達原価が資金調達方法によって異なることになり、原価法の前提が崩れます。
(1) ○:土地の再調達原価は、素材となる土地の標準的な取得原価に標準的な造成費と発注者が直接負担すべき通常の付帯費用を加算して求めます。農地を素地とする場合も同様です。
(2) ○:再調達原価が把握できない既成市街地の更地は、取引事例比較法及び収益還元法により求め、面積が標準的な土地に比べて大きい場合等には開発法を比較考量します。
(3) ○:自用の建物及びその敷地と貸家及びその敷地では、想定される建物の仕様や賃貸に必要な設備等が異なり得るため、再調達原価が異なる場合があります。
(5) ○:直接法と間接法は資料の信頼度に応じて適用し、必要に応じて併用します。建築請負契約書の明細から信頼度の高い再調達原価が求められるのであれば、間接法の適用は必須ではありません。
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