平成29年 不動産鑑定士試験 短答式 鑑定理論 問38
各論第3章A 最重要
証券化対象不動産の鑑定評価におけるDCF法の収益費用項目に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
(1) 大型の郊外商業施設や物流施設など賃貸借契約期間が長期に及ぶことが一般的である不動産の場合には、期間損益の概念上、テナント募集費用は当該契約期間に配賦されるのが適当であることから、運営費用には含めず運営純収益からの控除項目として純収益を算出することができる。
(2) 対象不動産が店舗やホテル等の場合には、賃貸借契約に歩合賃料が設定されることがあるが、一般的に歩合賃料の予測は不確実にならざるを得ないため、貸室賃料収入への計上は避けるべきである。
(3) 対象不動産が一棟貸しである場合の空室等損失は、依頼者、投資家等に対して十分なリスク開示を行う必要があるため、必ず、一定期間における入替えを考慮した年平均額として査定する。
(4) 固定資産税、都市計画税には各種軽減措置が講じられている場合があり、所有者の属性等が当該措置の適用要件となっていることもあることから、依頼者から入手した資料に記載されている税額をそのまま採用するのではなく、修正等を加えて計上する場合がある。
(5) 上場不動産投資法人による開示では、一般的には減価償却費が投資口の配当原資にはならない等の理由により、配当力を示す指標として償却後NOI(ネット・オペレーティング・インカム)に対する利回りが掲載されることがある。したがって、償却後NOIに対応する割引率及び還元利回りを用いることにより収益価格を算出することができる。
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正解:(4)
解説
【正解 (4)】正しいのは(4)です。
(4) ○:固定資産税・都市計画税には各種の軽減措置があり、所有者の属性等が適用要件となっている場合があります。証券化に伴って所有者が変わると適用の有無が変わり得るため、依頼者から入手した資料の税額をそのまま採用せず、修正等を加えて計上する場合があります。
(1) ×:テナント募集費用は運営費用に含める項目です。契約期間が長期に及ぶ不動産であっても、運営純収益からの控除項目(資本的支出等と同じ扱い)に振り替えるものではありません。
(2) ×:歩合賃料も対象不動産から生ずる収益であり、過去の売上実績や契約内容を踏まえて適切に予測し、貸室賃料収入に計上します。予測が難しいことは計上しない理由になりません。
(3) ×:一棟貸しの場合の空室等損失は、契約内容や賃借人の信用力、代替テナントの確保可能性等を踏まえて査定します。必ず一定期間の入替えを考慮した年平均額とする、という画一的な扱いは求められていません。
(5) ×:DCF法及び直接還元法で用いるのは償却前の純収益であり、これに対応する割引率・還元利回りを適用します。上場不動産投資法人の開示指標として償却後NOI利回りが用いられることがあっても、それをそのまま鑑定評価の利回りとして用いることはできません。
📖 関連するテキスト:42-1 各論第3章の全体像と証券化対象不動産の意義(鑑トレの会員ページ)