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平成28年 不動産鑑定士試験 短答式 鑑定理論 問20

総論第7章A 最重要

収益還元法に関する次のイからホまでの記述のうち、誤っているものをすべて掲げた組み合わせはどれか。

イ DCF法による価格は、保有期間中における毎期の純収益を割引率によって価格時点に割り引いた純収益を合計して得た額と、保有期間満了時の次期の純収益を最終還元利回りで還元して得た額(復帰価格)について保有期間満了時の次期の割引率で価格時点に割り引いて得た額とを、それぞれ加算して求める。

ロ 対象不動産の現行の支払賃料等が適正な支払賃料等より割高と認められる場合における直接還元法の適用において、初年度の純収益を採用する時の還元利回りの水準は、標準化された純収益を採用する時より低い還元利回りを用いる。

ハ 更地に土地残余法を適用する場合には、賃貸事業におけるライフサイクルの観点を踏まえる必要があるが、この考え方は建物残余法を適用する場合においても同様である。

ニ DCF法は、対象不動産が更地である場合においても、当該土地に最有効使用の賃貸用建物等の建築を想定することにより適用することができるが、インウッド式を用いた有期還元法についても同様である。

ホ 現に賃貸借に供されている事業用不動産について、賃貸借契約により支払賃料として固定賃料及び売上変動賃料が採用されている場合であっても、賃借人の優れた経営能力により標準的な水準を超過する支払賃料が享受できていると認められるときは、標準的な支払賃料水準に補正のうえ、総収益を求めなければならない。

(1) イとロとホ
(2) ロとニとホ
(3) イとロとニとホ
(4) ロとハとニとホ
(5) すべて誤っている

正解と解説を見る

正解:(5)

解説

【正解 (5)】イからホまですべて誤りです。 イ ×:復帰価格を価格時点に割り引く際に用いるのは保有期間満了時点までの割引率であり、「保有期間満了時の次期の割引率」ではありません。復帰価格はn+1期の純収益を最終還元利回りで還元して求め、これをn年分割り引きます。 ロ ×:現行の支払賃料が適正水準より割高な場合、初年度の純収益は将来にわたって維持できない水準です。これを採用して直接還元するのであれば、将来の下落を織り込むために標準化された純収益を用いる場合より「高い」還元利回りを用いることになります。低い利回りを用いれば価格が過大になります。 ハ ×:土地残余法において賃貸事業のライフサイクル(建築・賃貸・取壊し)を踏まえるのは、土地が永続的である一方で建物には寿命があるという非対称性に由来します。建物残余法は建物に帰属する純収益を求めるものであり、同じ考え方がそのまま妥当するわけではありません。 ニ ×:インウッド式による有期還元法は、有限期間の純収益の現在価値を複利年金現価率で求めるものです。更地に最有効使用の建物を想定して適用するDCF法と同列に扱うことはできません。 ホ ×:賃借人の優れた経営能力によって標準を超える支払賃料が現に支払われている場合であっても、契約に基づき収受する賃料は対象不動産の総収益を構成します。標準的な水準へ補正しなければならない、という扱いにはなりません(超過部分が契約期間の経過後も継続するかどうかは、還元利回りや期間の設定で反映します)。

📖 関連するテキスト:21-1 直接還元法(鑑トレの会員ページ)

この問題に出てくる用語

最終還元利回り複利年金現価率インウッド式最有効使用収益還元法直接還元法土地残余法建物残余法有期還元法支払賃料

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出典:平成28年不動産鑑定士試験 短答式試験(国土交通省)を加工して作成。解説は鑑トレが作成。