平成29年 不動産鑑定士試験 短答式 鑑定理論 問17
総論第6章B 重要
個別分析に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
(1) 文化財である建物や公共公益施設等につき、正常価格を求める場合の最有効使用は、現況どおり文化財若しくは公共公益施設等となる。
(2) 建物及びその敷地の賃料の鑑定評価に当たって、現況の利用が最有効使用と異なる場合であっても、利用目的が賃貸借契約により定められていることから、鑑定評価額への影響はない。
(3) 築後間もない事業用不動産について、その立地条件等から集客力が乏しく事業継続や用途転換が困難な場合等には、建物を取り壊して更地化することが合理的であると判断される場合もある。
(4) 住宅地域内の更地である対象不動産について、接面街路の拡幅工事が行われる予定があり、工事完了後は、当該街路の歩行者数や車両交通量が大幅に増加するものと予測される。この場合において、その増加により対象不動産の最有効使用が店舗地になると考えられるときは、その増加が実現する時期の判断が困難であっても、最有効使用を店舗地と判定できる。
(5) 表通り沿いに形成された商業地域に所在する標準的な更地と、その背後に形成された住宅地域に所在する標準的な更地がある。この場合、商業地域に所在する標準的な更地の価格水準が、住宅地域に所在する標準的な更地の価格水準を下回ることはない。
正解と解説を見る
正解:(3)
解説
【正解 (3)】正しいのは(3)です。
(3) ○:築後間もない建物であっても、立地条件から集客力が乏しく事業の継続も用途転換も困難であれば、取り壊して更地化することが最有効使用と判断される場合があります。建物の築年数だけで判定するものではありません。
(1) ×:文化財である建物や公共公益施設等は一般に市場性を有しないため、その保存等に主眼をおいて求めるのは特殊価格です(総論第5章第3節Ⅰ4.)。市場性を前提とする正常価格を求める場合の最有効使用が、現況どおり文化財等の利用になるとは限りません。
(2) ×:賃料の鑑定評価においても、現況の利用が最有効使用と異なることは基礎価格や純収益を通じて鑑定評価額に影響します。契約で利用目的が定められていることは、影響がないことの理由になりません。
(4) ×:将来の動向を前提として最有効使用を判定する場合には、その実現の時期についての判断が必要です。実現時期の判断が困難であれば、現在の標準的使用を前提に判定すべきであり、店舗地と判定することはできません。
(5) ×:商業地域の価格水準が常に住宅地域を上回るとは限りません。商業の衰退した地域では、背後の良好な住宅地域の価格水準を下回ることもあり得ます。
📖 関連するテキスト:13-1 地域分析の意義(鑑トレの会員ページ)