平成27年 不動産鑑定士試験 短答式 鑑定理論 問18
総論第7章A 最重要
正常価格を求める鑑定評価における取引事例比較法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1) 近隣地域の標準的使用と対象不動産の最有効使用が異なる場合においては、対象不動産と用途、規模、品等等からみた類似性が明確に認められる同一需給圏内の代替競争不動産に係る取引事例を選択する必要がある。
(2) 同一需給圏内の類似地域において収集した取引事例の中に、親族間の土地取引に係るものが認められたが、当該類似地域の取引市場を検討した結果、当該取引事例の価格水準に特段影響を与えていないと判断されたため、事情補正を行わずに採用した。
(3) 時点修正率は、地価公示や都道府県地価調査等の公的な資料により、近隣地域又は同一需給圏内の類似地域の地価動向を把握して査定する。
(4) 近隣地域の標準的使用と対象不動産の最有効使用がともに高層店舗地の場合においては、地域要因の比較として繁華性の程度及び盛衰の動向、商業背後地及び顧客の質と量などの地域要因を、個別的要因の比較として商業地域の中心への接近性、主要交通機関との接近性などの個別的要因について、取引事例とそれぞれ比較検討する。
(5) 建物及びその敷地一体としての取引事例比較法の適用を断念した場合においても、対象不動産と類似する取引事例を収集し、市場参加者の属性、取引総額、建物の床面積当たりの単価水準等の分析・検討を行い、適用する他の手法の適用過程や鑑定評価額の決定に当たり活用することが有用である。
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正解:(3)
解説
【正解 (3)】誤っているのは(3)です。
(3) ×:基準は「時点修正に当たっては、事例に係る不動産の存する用途的地域又は当該地域と相似の価格変動過程を経たと認められる類似の地域における土地又は建物の価格の変動率を求め、これにより取引価格を修正すべきである」と定めています。修正の基礎となるのは対象不動産側の地域ではなく、事例が存する地域の変動率です。また公的な資料のみで足りるものでもなく、市場動向や取引事例等の資料を総合的に勘案して査定します。
(1) ○:標準的使用と最有効使用が異なる場合には、同一需給圏内の代替競争不動産に係る事例を選択します。基準の事例選択の要件どおりです。
(2) ○:事情補正が必要になるのは、特殊な事情が価格に影響を及ぼしている場合です。親族間取引という事情があっても、市場を検討した結果その価格水準に影響していないと判断されるのであれば、補正を行わず採用できます。取引の当事者関係だけで機械的に排除するものではありません。
(4) ○:繁華性の程度、商業背後地及び顧客の質と量は商業地域の地域要因、商業地域の中心への接近性、主要交通機関との接近性は商業地の個別的要因として基準に例示されています。振り分けが正しい記述です。
(5) ○:一体としての比準価格を求められない場合でも、収集した事例の分析結果は他の手法の適用過程や試算価格の調整に活用できます。
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