平成28年 不動産鑑定士試験 短答式 鑑定理論 問16
総論第7章A 最重要
対象不動産が建物及びその敷地である場合において、不動産の価格又は賃料を求める鑑定評価の各手法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1) 原価法は、再調達原価の把握及び減価修正を適切に行うことができるときに有効であるが、この場合の再調達原価には、建物引渡しまでに発注者が負担する通常の資金調達費用や標準的な開発リスク相当額を含む場合があり、これは、実際には自己資金で自社ビルを建設した場合であっても同様である。
(2) 取引事例比較法及び賃貸事例比較法は、近隣地域若しくは同一需給圏内の類似地域等において、対象不動産と類似の不動産の取引や賃貸借等が行われている場合又は同一需給圏内の代替競争不動産の取引や賃貸借等が行われている場合に有効である。
(3) 収益還元法は、賃貸用不動産又は賃貸以外の事業の用に供する不動産の価格を求める場合に特に有効であり、総収益は一般に、賃貸用不動産の場合は支払賃料等、賃貸以外の事業の用に供する不動産の場合は売上高とする。ただし、賃貸以外の事業の用に供する不動産であっても、賃貸に供することを想定することができる場合における支払賃料等をもって総収益とすることができる。
(4) 積算法は、対象不動産の基礎価格、期待利回り及び必要諸経費等の把握を適切に行い得る場合に有効であるが、この場合の基礎価格は、対象建物及びその敷地の現状に基づく利用を前提として成り立つ当該建物及びその敷地の経済価値に即応した価格となることに留意する。
(5) 収益分析法は、企業の用に供されている不動産に帰属する純収益を適切に求め得る場合に有効であるが、賃貸用不動産であっても、その総収益を分析して収益純賃料及び必要諸経費等を含む賃料相当額を収益賃料として直接求めることができる。
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正解:(5)
解説
【正解 (5)】誤っているのは(5)です。
(5) ×:収益分析法は、一般企業経営に基づく総収益を分析して対象不動産が一定期間に生み出すであろう純収益を求め、これに必要諸経費等を加算して試算賃料を求める手法であり、「賃貸用不動産以外の不動産」に適用されるものです(総論第7章第2節Ⅲ)。賃貸用不動産には適用しません。賃貸用不動産の賃料は、賃貸事例比較法や積算法によって直接把握できるためです。
(1) ○:再調達原価には建物引渡しまでに発注者が負担する通常の資金調達費用や標準的な開発リスク相当額が含まれる場合があります。これは「通常」必要とされる原価を観念するものですから、実際に自己資金で建設した場合でも同様に考慮します。
(2) ○:取引事例比較法及び賃貸事例比較法は、近隣地域若しくは同一需給圏内の類似地域等、又は同一需給圏内の代替競争不動産について事例が得られる場合に有効です。
(3) ○:収益還元法の総収益は、賃貸用不動産では支払賃料等、賃貸以外の事業用不動産では売上高とするのが一般ですが、賃貸に供することを想定できる場合には支払賃料等をもって総収益とすることもできます。
(4) ○:積算法の基礎価格は、賃貸借等の契約内容による使用方法を前提とした経済価値に即応する価格です。現状に基づく利用を前提とする点に留意します。
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