平成28年 不動産鑑定士試験 短答式 鑑定理論 問22
総論第7章A 最重要
継続中の建物及びその敷地の賃貸借契約に基づく実際支払賃料の改定のための鑑定評価における鑑定評価の手法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。なお、現行賃料は直近合意時点における新規賃料より割高な水準により合意されたものとする。
(1) 差額配分法の適用過程で対象不動産の経済価値に即応した適正な実質賃料を積算法により求める場合における基礎価格について、賃借人が付加設置した建物設備等も対象に含めて査定した。
(2) 差額配分法の適用過程で対象不動産の経済価値に即応した適正な実質賃料と実際実質賃料との間に過大な負の差額が認められたが、継続賃料固有の価格形成要因を分析した結果、当該差額について賃貸人に帰属する部分はないと判断した。
(3) 利回り法の適用過程における基礎価格には、継続賃料固有の価格形成要因を反映する必要があることから、差額配分法の適用過程で対象不動産の経済価値に即応した適正な実質賃料を積算法により求めた場合における基礎価格に対して適切な修正を行って採用した。
(4) スライド法の適用過程における変動率は、直近合意時点から価格時点までの間における経済情勢等の変化に即応する変動分を表すものであるから、当該期間のみに着目して各種指数や不動産インデックス等を勘案のうえ変動率を査定した。
(5) 賃貸事例比較法は、新規賃料に係る賃貸事例比較法の適用に準じるものであるから、賃貸事例の収集・選択における契約内容の類似性に係る判断基準も、新規賃料に係る賃貸事例比較法の場合と同じである。
正解と解説を見る
正解:(2)
解説
【正解 (2)】正しいのは(2)です。
(2) ○:現行賃料が適正賃料より割高な場合、適正実質賃料と実際実質賃料との差額は負になります。この差額のうち賃貸人に帰属する部分があるかどうかは、継続賃料固有の価格形成要因(契約の経緯、これまでの改定状況、賃借人の投資等)を分析して判断するものであり、賃貸人に帰属する部分はないと判断することもあり得ます。
(1) ×:基礎価格は対象不動産の経済価値に即応した価格ですが、賃借人が付加設置した建物設備等は賃借人に帰属する資産であり、賃貸人が賃料を収受する対象ではありません。基礎価格に含めるべきではありません。
(3) ×:利回り法の基礎価格は積算法の基礎価格に準じて求めるものであり、継続賃料固有の価格形成要因を反映するために修正を加えるものではありません。継続賃料固有の要因は継続賃料利回りの側で考慮します。
(4) ×:スライド法の変動率は、直近合意時点から価格時点までの経済情勢等の変化に即応する変動分を表しますが、継続賃料固有の価格形成要因に留意しつつ求めるものであり、当該期間の指数の動きのみに機械的に着目して査定するものではありません。
(5) ×:継続賃料に係る賃貸事例比較法では、継続賃料固有の価格形成要因を考慮する必要があるため、賃貸事例の収集・選択における契約内容の類似性の判断基準は、新規賃料の場合と同一ではありません。契約時期や改定の経緯まで含めた類似性が求められます。
📖 関連するテキスト:23-1 賃料の意義(鑑トレの会員ページ)