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令和4年 不動産鑑定士試験 短答式 鑑定理論 問11

留意事項B 重要

類型が貸家及びその敷地であって賃借人が運営を行っている老人ホームの鑑定評価を依頼された場合の対応に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(1) 感染症対策のため老人ホームの一部の実地調査が行えない旨を依頼者から告げられたので、やむを得ず当該部分の実地調査を行わず、鑑定評価報告書に実地調査を行わなかった旨を記載したが、その理由までは記載しなかった。
(2) 収益性を分析した結果、一般的な老人ホームより大きい超過収益が発生しており、かつそれが運営事業者の経営に帰属するものであったが、賃貸借契約において当該超過収益の一部を不動産の所有者に安定的に帰属させる旨の合意があったため、当該超過収益の一部が対象不動産に帰属することを前提に試算した。
(3) 建物及びその敷地の最有効使用は建物の取壊しであったが、証券化対象不動産に係る鑑定評価目的の下、資産流動化計画により投資家に開示される運用方法が老人ホームとしての事業の継続であったため、当該運用方法を前提に正常価格として求めた。
(4) 地下に昔の建物の基礎杭が残置されており、それが撤去されたことを前提とする想定上の条件を設定してほしいと依頼者から頼まれたが、当該条件が鑑定評価書の利用者の利益を害するおそれがあったため、想定上の条件に換えて同じ内容の調査範囲等条件を設定した。
(5) 事業用不動産とは、賃貸以外の事業の用に供する不動産のうち、その収益性が当該事業の経営の動向に強く影響を受けるものをいうため、類型が貸家及びその敷地である老人ホームは事業用不動産に該当しないと判定した。

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正解:(2)

解説

【正解 (2)】契約により超過収益の一部を不動産所有者に安定的に帰属させる合意がある場合、その部分を対象不動産に帰属する純収益として試算できます。 (1) ×:実地調査の一部を実施できなかった場合には、その旨とともに実施できなかった理由を鑑定評価報告書に記載しなければならず、理由の記載を省略した対応は誤りです(総論第8章、総論第9章、留意事項)。 (2) ○:運営事業者の経営に帰属する超過収益であっても、賃貸借契約によりその一部が不動産の所有者に安定的に帰属する場合には、当該部分を対象不動産に帰属するものとして試算することができます(留意事項)。 (3) ×:最有効使用(建物取壊し)と異なる運用方法(事業継続)を投資家に開示される資産流動化計画に基づき前提とする証券化対象不動産の鑑定評価で求める価格は特定価格であり、正常価格として求めた点が誤りです(総論第5章、各論第3章)。 (4) ×:鑑定評価書の利用者の利益を害するおそれがある場合には想定上の条件を設定できず、同内容を調査範囲等条件に置き換えることも認められません。調査範囲等条件は価格形成要因についての調査の範囲を限定する条件であり、撤去済みという想定を設定するものではありません(総論第5章、留意事項)。 (5) ×:事業用不動産の定義に「賃貸以外」という限定はなく、貸家及びその敷地の類型であっても、収益性が賃借人の営む事業の経営の動向に強く影響を受ける老人ホームは事業用不動産に該当し得ます(留意事項)。 【学習ポイント】証券化で「最有効使用と異なる運用の継続を前提」→特定価格、「利用者の利益を害する条件」→設定不可、の2点は事例形式で繰り返し問われます。

📖 関連するテキスト:36-1 貸家及びその敷地の意義(鑑トレの会員ページ)

この問題に出てくる用語

証券化対象不動産調査範囲等条件鑑定評価報告書価格形成要因最有効使用正常価格特定価格純収益収益性賃貸借

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出典:令和4年不動産鑑定士試験 短答式試験(国土交通省)を加工して作成。解説は鑑トレが作成。